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ブランドは商品を売り続けていても勝手には育たない。 | 株式会社RecorC(リコルク)

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ブランドは商品を売り続けていても勝手には育たない。


これまで多くのクライアントとブランディングやクリエイティブの現場を共にしてきて、気づいたことがあります。それは、本格的にブランディングに取り組むタイミングに、ある共通点があること。
たとえば、こんなケースです。

「デザインが古くなったので見直したい」
「事業やサービスが増えたので、自社の価値を整理したい」
「10年目の節目にブランドに勢いをつけたい」
「売上が伸び悩んでいるので方向性を変えたい」

こうしたタイミングで声をかけていただくことは、とても嬉しいことです。それがきっかけで、ブランドの価値を見直し、新たな可能性を切り開くお手伝いができるのですから。

ただ、少し勿体無い気もしています。なぜなら、ブランディングやマーケティングが必要なのは「特定のタイミング」ではなく、「ブランドが生まれた瞬間から」だからです。そしてこれは中小企業だからこそ大切にしたい視点であると思います。

ブランドを育てる活動は、価値を伝える、届ける仕組みそのもの。決して後回しにしていいものではありません。

ブランドづくりは「日常の積み重ね」

「ブランディングは大企業のための戦略だ」。これは誤った認識です。
確かに、かつては情報発信の場が限られ、大規模な広告やプロモーションを打てる企業だけが目立つ時代もありました。

しかし、今は違います。SNSやウェブサイトなど、無料で情報を発信できる場が無数にあります。そして、多くの人が「なんとなく好きだから」「応援したいから」という感情でブランドを選ぶようになりました。

そのため、中小企業であっても、日常の中で価値を伝え続けることで「好き」になってもらえるチャンスが無限にあります。

ただ、それを実現するためには、「売るための活動」と「好きになってもらうための活動」を両立させることが重要です。

「売るため」と「好きづくり」の違い

「売るための活動」とは、商品やサービスを直接的に購入してもらうための取り組みです。

例えば、購入前の比較検討段階にいる消費者に対して、他社との違い、棲み分けをわかりやすくするようなコンテンツを作ったり、申し込み方法をできるだけ簡単にしたり、セールを開催するなどがこれにあたります。(あくまでも一例です)

一方、「好きになってもらうための活動」は、ブランドへの共感を得るなど、感情的なつながりを生み出す取り組み。

たとえば、SNSを活用した日常のストーリー発信。または商品やサービスが生まれた背景やビジョンを伝えるようなコンテンツ制作、地域密着型のイベントなどです。

これらは似て非なるものでありながら、核となるコンセプトが明確であれば、相互にシナジーを生むことができます。

リコルクでは、この二つの活動を「両利き戦略」と呼んでおり、特に中小企業にとって有効なアプローチとして推奨しています。限られたリソースを無駄にせず、全てをブランドの資産に変えていく。

この視点が、成功の鍵を握ります。

強いブランドを育てる「一貫性」と「物語性」

これまでの記事の内容でそれとなく書いてきたように、耐久性のある強いブランドへと育てていくためには、日々一貫したアクションやコミュニケーション、評価、分析をコツコツと積み重ねることが不可欠です。

単に情報発信を続け、量や年月を重ねれば良いというものではありません。

  • 自社の強みやスタンスを明確に伝えるアクションやコミュニケーション
  • 顧客の潜在的なニーズを掘り起こすアクションやコミュニケーション
  • ステークホルダーとの関係性を深めるアクションやコミュニケーション

地域社会との連携や、既存顧客への感謝イベントの実施など、ブランドを応援してくれる人々と関係性を築くことが重要です。

これらの取り組みを「短いサイクル」で繰り返し行うことで、ブランドの物語が紡がれていきます。強いブランドは、この物語を意図的に積み上げているのです。

[企業体系図とブランドマーケティングの役割]

個人的な失敗事例

最後に、過去に犯した自身の失敗事例について赤裸々にお話ししたいと思います。
少しでも参考になれば幸いです。
(数年ほど前、まだメーカーの営業職で働いていた頃の話です)

突然、自社に対して追い風が…

自社の商品やサービスが外部環境の変化によって急に売れ始めることってありますよね?
これまでは地道にコツコツと販売してきていたが、突然流行の波に乗り、販売個数が急激に伸び始める。

例えば、

  • テレビで紹介され、話題になっている。
  • インフルエンサーが使っていた
  • タピオカの時のように若者の間で人気沸騰
  • 特定の食材に含まれる、とある栄養素がダイエットに効果的と皆の共通認識になりつつある

一部の例ですがこれらも外部環境の変化になると思います。

提供しているサービスや商品によって、自社に影響を及ぼす外部環境の変化は様々ですが、突然追い風になった時にこそ、今後の販売戦略について慎重に判断すべきだと思います。

私の失敗事例を一言でいうならば、「伝えることを疎かにし、生産することに没頭してしまったこと」です。

最も恐るべきこと→価値の低下

当時何があったのかというと、ブームに乗り、1〜2ヶ月で多く抱えていた在庫があっという間に完売してしまいました。たった2ヶ月ほどで前年(年間)の売上を上回るほどの勢いです。

外部環境的に追い風になり、波に乗るとバンバン商品が売れていきます。
これをチャンスと思ってしまった私たちは大量生産に踏み切ったのです。(そりゃ沢山売りたい)

結果、何が起きたかというと…価値が下がってしまったのです。

ブームがきたということは当然競合製品も続々とリリースされてきます。そして後発製品は私たちの製品よりも安い価格で販売されていました。

私たちは機械のメーカーだったので、生産した商品は基本的に販売店へ卸します。大量に生産し、大量に販売店へ卸せば各販売店が多く在庫を抱える事になりますよね。

販売店さんの状況としては、勢いのまま「いますぐ売れるだけ売りたい!」という感情が強くなり、沢山の在庫を抱えたはいいものの、突然の安価な後発製品の登場で1日当たりの販売個数が減りつつある。
そんな状況に陥っていました。

そして、そんな時に販売店さんが行った施策は「値下げ」です。商品の値崩れが加速してしまったのです。

いま、価値を伝えられているか

これは販売店さんが悪いということが言いたいのではありません。
メーカー側の販売戦略や今やるべきことの優先順位を誤ったため起きてしまった事です。

あの頃の自分に一言ものを申すならば、「大量生産はせずに、今こそ価値を訴求しろ」「商品ではなく、選ばれ続ける理由や意味を生み出せ」です。

競合の製品が出てきても、微動だにしないほどの価値がその製品にはあったはず。これまで自分たちの製品が選ばれ続けてきた理由があったはず。

それを伝えていく活動を疎かにして、バンバン売ることだけに徹してしまった。

実際に私が生産に踏み切る判断をしていたわけではないのですが、ブランドのことを考え、全力でストップをかけられなかった私にも当然責任はあります。

大反省です。

突然、追い風が吹き、波に乗り始めている時こそ一度立ち止まってみてください。追い風どうこうではなく、日々生産することや売ることだけに活動が集中しすぎている場合も同様です。

長い目で見た時に「今の売り方が本当に最適なのか?」「今主にリソースを割いてることは未来への投資になっているか?」冷静にじっくりと考えてみていただきたいです。

たくさん売るべき時もありますし、たくさん売るべきでない時もあります。

何が最適なのかは、

  • 企業の理念
  • 商品自体の価値
  • 今後企業として提供していきたい価値

によって様々なのでそれらを見極めた上でのご判断を。

「ブランドを育てながら守る」
間違いなく大切なので、今一度向き合っていただきたいです。

最後に

ブランドには必ず「存在する理由、価値」があります。その意味や価値を必要な人に届けることで、本来生まれるはずの喜びを形にする。
価値を伝えることは、存在の意義を守ることでもあります。

ちなみに弊社では、創業当初からどんなに忙しくても、どんなに資金がなくても「価値を伝える」ことに一定のリソースを割くようにしています。

まだ法人化もしていない頃から、ビジョンマップを作成したり、広報PRをパートナーと連帯して行ったり、共同代表の松本と「意味があるのか?」と思ってしまうくらい一つひとつの言葉に自社ならではの定義付けを行いながら情報発信を行ってきました。

こうした取り組みが数年後にどのようになっているか…ぜひ見届けていただきたいなと思います。

この記事を書いた人

クリエイティブディレクター

萩原 雅貴

これまで100を超えるブランドのWEB・デザイン・クリエイティブディレクションを担当。固有の価値を伝える現場において、ビジョン・コンセプト開発、事業戦略設計、制作クリエイティブディレクション、執筆まで。ものづくりに情熱を注ぐ人や組織と手を組み、情報ではなく情緒でつなぐことを指針に活動。ブランドマネージャー1級

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