
「人脈」、その言葉を聞いたとき、あなたはどう感じますか?
「人脈があれば安心」と思う人もいれば、「多すぎるとちょっと面倒だな」と感じる人もいるはず。
人それぞれで「人脈」に対する考え方はさまざまだと思います。
私は、「人脈」という言葉自体好きではありません。
ただ、「人との繋がりは大切にしたい」と思っている人間です。
どういうことか。
「人脈」という言葉が持つ印象が、どうしても「何かを得るために人と繋がる」というニュアンスが強くて、そこにどうしても引っかかりを感じるんです。
たとえば、「人脈作り」と聞いた瞬間に、どこかしら「この人と繋がれば得られるものがある」という、どこか計算的な匂いが感じられてしまう。
それが、私にはどうしても違和感にしか感じられないんですよね。
やっぱり合っていなかった人脈づくり
こんなことを言ってはいますが、実は若い頃、私も「人脈作り」に力を入れていた時期がありました。
その頃は、とにかくがむしゃらに、何の意味も考えず、名刺を大量にポケットに入れて交流会に参加し、わざわざ他の県で開かれる飲み会にだって顔を出していました。
でも、”人脈作り目的”でたくさんの新しい人と出会っても、結局何も生まれることはありませんでした。
生まれたのは、その場限りのちょっとした利益だけです。
それでも当時所属していた会社の上司からはよく「人脈作りに力を入れなさい」と言われていたので、あまり深く考えずにひたすら人脈作りに汗をかいていたんですね。
でも、ある時ふと思ったんです。
「そもそも人脈って、作りに行くものなのか?もしかしたら、この時間をもっと身近な人のために使った方がいいんじゃないか」と。
それに、「人脈作り=損得で繋がる」という場面になると、どうしても自分がぎこちなくなることに気づき、そんな自分に気づいた瞬間、その活動から足を洗う決断をしました。
本当に良いつながりを築くには
それからというもの、「人脈」について考えることもなく、無理に知り合いを増やそうとすることもなく、ただひたすらに「今、向き合っている人」「今、成果を出したい仕事」に集中してきました。
というよりも、実際、そっちの方が自分にはずっと合っていたので、遅かれ早かれ自然にそのように変わっていったのだと思います。
- 会いたいと思った人、誘ってもらった人の元に足を運ぶ。
- どんな些細な出会いでも、まずは大切にしてみる。
- 目の前の仕事と、誠実に向き合う。
この記事を読んでいる皆さんがどう感じるかは分かりませんし、もしかしたら反対意見もあるかもしれません。でも、私にとってはこれが一番自分らしいやり方だったんです。
ただ一つだけ、確信を持って言えるのは、このスタンスを取るようになってから、長いお付き合いをしている人が格段に増えたということ。
本来繋がるべき人との繋がりは、「今」と本気で向き合った先にある、結果としてのものに過ぎない。
今ではそう思っています。
セールス(営業)は贈り物だ
じゃあ、セールス(営業)はしないのかと言われれば、そうではない。
もしセールスが「相手に必要もないのに無理に売りつけること」だとしたら、私は一切セールスをしない。
でも、セールスは違う。相手の状況やニーズに寄り添い、思いやりを込めて提案する行為。
つまり、セールスはギフトをお渡しすることだと私は考えています。だからこそ、「人脈作り」とは全く別のものです。
なので、相手が喜びそうだと感じたなら、ドブ板営業だろうと何でもやります。逆に、相手が特に喜びそうにないのなら、絶対にその場所には足を運びません。
ちなみに、私は時々クライアントさんやまだ取引のない方を食事や飲みの席に誘うことがあります。
それは「取引がしたい」からではなく、シンプルに「出会いを楽しみたい」だけなんです。
無駄な人間関係なんて一つもない。そんな風に思っています。
まずは何者なること
もし、今「本当に人脈って作りに行かなければいけないものなのか?」と疑問を感じているのであれば、思い切って、徹底的に「今」に向き合ってみることをお勧めします。
それでも「将来的にも誰かと繋がっておかないと不安だ」と思うのであれば、まずは自分自身が「会いたいと思われる人」になることが、良い人間関係をつくると思うので、やっぱり「今と向き合う」が大事だと思います。
たとえ小さな範囲の中であっても、「何者か」になれば、不思議と損得を超えた出会いや、新しい可能性が自然に生まれるものです。
私自身も、会いたいと思われる存在であり続けるために、今関わっている人や仕事に、これからも全力で向き合っていきます。