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Web集客の成功事例7選、中小企業の内製・外注・費用を徹底比較

この記事のまとめ

Web集客の成功事例は、内製と外注の分け方、費用の使いどころ、着手する優先順位で読み解くと、自社に置き換えて考えやすくなります。ここでは中小企業や地方企業の事例を7つ取り上げ、数字と流れを追いながら、価値で選ばれ続ける状態に近づく道筋をまとめます。

  • Web集客の成功事例は、内製と外注、費用、優先順位の3軸で読み解けます。
  • 数字とプロセスを押さえると、自社への置き換えがしやすくなります。
  • 独自価値を基点に活動を重ねると、ブランドが育ちます。
  • その結果、価値で選ばれ続ける状態に近づいていきます。

Web集客と成功事例の前提

事例に入る前に、Web集客の目的、中小企業を取り巻く環境、そして事例の読み方をそろえておきます。前提を共有しておくと、7つの事例を自社の判断材料に活用することができます。

Web集客の意味と目的

Web集客は、単にサイトへの訪問者を増やす活動だけを指すわけではありません。

まず大切なのは、問い合わせ・相談・資料請求といった具体的な行動につながる流入を増やすことです。そこからさらに、社名や商品名で検索される指名検索の増加、採用ページへの応募の質の向上まで視野に入れると、経営に直結する活動として捉えられます。流入数だけを追いかけると、費用対効果を見誤りやすくなる点にも注意が必要です。

つまり、Web集客の目的は数を集めることではなく、関係を育てる入口を整えることにあります。

中小企業と地方企業の外部環境

中小企業を取り巻く環境は、複数の圧力にさらされています。

賃金面では、春季労使交渉で約30年ぶりの賃上げ水準が続き、最低賃金の引上げも進んでいます。一方で中小企業の賃上げ余力は厳しく、原資の確保が課題です。人手不足については、2010年代以降、多くの業種で人手不足感が強まっています(参照*1)。

差別化の観点では、中小企業白書が整理した重視要素として、顧客との密着性やコミュニケーションが最も高く、次いで高い品質、希少価値・プレミアム感が続いています(参照*2)。

こうした経営環境を踏まえると、Web集客は販促にとどまらず、経営課題と結び付けて設計することが求められます。

成功事例を読む3つの軸

事例を眺めるだけでは、自社への応用はなかなか進みません。

本記事では、内製と外注の切り分け・費用・優先順位という3つの軸を使って事例を読み解きます。1つ目の内製と外注の切り分けでは、どこを社内で担い、どこを専門家に任せるかを確認します。2つ目の費用では、月額の目安や補助金の使い方を整理します。3つ目の優先順位では、現状分析から発信・追客・分析まで、どの順で手を打ったかを追います。

つまり、この3つの軸を使うと、規模や業種が違っても、自社の意思決定に活かせる判断のヒントを取り出しやすくなります。

内製・外注・費用の判断軸

内製と外注の切り分け、費用相場、補助金の使い方は、事例を自社に置き換えるときの土台になります。判断の物差しを先に持っておきます。

内製と外注の役割分担

内製と外注は二者択一ではなく、役割で切り分けるのが基本です。

内製に向くのは、現場の情報発信、日々の運用、データ分析です。岡山市の事例集では、支援先の株式会社エスプランニングにおいて、現状分析とKPI設定を行った後、GA4とClarityを導入して権限を共有し、ユーザー行動の可視化を開始したことが記されています(参照*3)。

一方、外注に向くのはサイト設計、SEOの設計、広告運用の初期構築です。両者を組み合わせることで、社内にノウハウを残しながら専門領域を補えます。

判断の起点は「社内に残したい力は何か」です。そこから内製と外注の線引きを決めると、現実的な設計につながります。

費用相場と契約単位

外注の費用は、契約の範囲と月額の目安で把握できます。

J-Net21は、外注費用の大まかな目安を挙げています。たとえば、PR戦略の設計やプレスリリース作成が月額10万〜20万円、コンテンツマーケティングやオウンドメディアの設計とコンテンツ作成が月額30万〜50万円、SNS運用代行やデジタルキャンペーンの企画が月額10万〜50万円、危機管理広報や包括的なPRプランニングが月額50万円以上となっています(参照*4)。

幅があるのは、業種や競合状況、コンテンツ量によって工数が変わるためです。契約前には成果物・更新頻度・レポート内容を書き出して見積を比較すると、費用の妥当性を判断しやすくなります。

費用は「何にいくら」と分解して見ると、内製との組み合わせ設計がしやすくなります。

補助金・支援制度の活用

初期費用を抑えたいときは、公的な支援制度が助けになります。

中小企業庁の小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が経営計画を作り、商工会議所や商工会の支援を受けながら販路開拓などに取り組むことを支援する制度です。補助率は3分の2、補助上限額は最大250万円で、チラシ作成や広告掲載、店舗改装など幅広い販路開拓の経費が対象です(参照*5)。

総務省は、導入のハードルが低い事例や費用対効果が大きい事例、関係人口の創出に関する事例を中心に充実させた「地域社会のデジタル化に係る参考事例集【第5.0版】」を令和8年7月に公開しました(参照*6)。

つまり、補助金や公的資料の存在を前提に予算を組むと、自己資金だけに頼らない設計ができます。

Web集客の成功事例7選

ここからは、内製と外注、費用、優先順位の3軸を手がかりに、中小企業や地方企業の7つの事例を見ていきます。

事例1: 法人営業のデジタル化(損害保険代理業)

最初の事例は、損害保険代理業の株式会社エスプランニングによる法人営業のデジタル化です。

岡山市の事例集によると、先に触れたGA4とClarityによる可視化を起点に、SEOやMEO、メールによる自動追客までを整えた結果、MEO検索順位は9位から6位へ、ブログ経由のBtoB流入は増加傾向となりました。顧客管理は1,000件以上の運用管理を開始し、Webを起点としたBtoB集客の自走体制が確立しました(参照*3)。

基盤の可視化から追客までをつなぐと、法人営業でも自走体制を整えられます。

事例2: Web・SNS・MEO連動(産業廃棄物処理)

続いて、産業廃棄物処理の株式会社ヨシハラ機工の取り組みです。

岡山市の事例集では、SEO診断を起点に、Instagramを採用特化へ切り替え、MEO投稿を強化しました。結果、ブログページの閲覧数が月100PVから280PVへと2.8倍、Instagramは月間1万リーチを達成し、新規顧客を2件獲得したと紹介されました(参照*3)。

採用と集客を切り分けたことで、発信の軸を分けて運用しています。

目的別にチャネルを使い分ける取り組みです。

事例3: ネット通販での直販拡大(食品製造)

3つ目は、兵庫県香美町の酢醸造元、株式会社トキワによるネット通販での直販拡大です。

J-Net21の取組事例によると、1912年創業の同社は1997年に通信販売を始め、主力商品「べんりで酢」がクチコミや贈り物を通じて全国に広がりました。当初約300人だった顧客は2010年に約7万500人となり、年間売上高は4億5,000万円を超えました(参照*7)。

2011年からは新聞やウェブの広告、通販基幹システムへの投資で新規顧客の獲得に力を入れ、2019年にはオンラインショップをリニューアルしています(参照*7)。

消費者と直接つながる販路を育て続けたことが、地方の製造業の成長につながった事例です。

事例4: 地域ブランドの活用と関係人口創出

4つ目は、地域ブランドの活用でファンを育てる事例です。

総務省の参考事例集によると、愛媛県今治市は、関係人口の創出・拡大と継続的な交流を目的に、オンラインコミュニティ「デジばりー」を運営しています。すでに3,000人ほどの参加者がいます(参照*6)。

自治体の事例ですが、地域の中小事業者が地元の話題や人を軸にコミュニティを育てる発想は、参考になります。

地域を軸にしたデジタルの場は、関係づくりの場になります。

事例5: 商標を活かした指名買いの獲得

5つ目は、商標の活用で指名買いを育てた事例です。

特許庁の商標活用ガイドは、大阪府の靴下メーカーである岡本株式会社が消費者視点の商品名に変更したところ、売上が30倍以上になったと紹介しました。同じガイドでは、大阪府のDIY用品メーカー平安伸銅工業株式会社が、伝えたい・叶えたいを表現するブランド創設により、指名買いされる商品へと育った事例も挙げられています(参照*8)。

名前の設計は、商品が選ばれ続ける入口に関わる意思決定です。

事例6: 品揃えと仕組みで伸ばしたネット通販(工具販売)

6つ目は、大阪市の工具販売会社、株式会社大都によるネット通販の拡大です。

J-Net21の取組事例によると、同社は2002年に楽天市場への出店からネット通販を始め、取扱点数を1万8,000点から10万点へ広げるとともに、メーカーとの受発注をFAXからウェブシステムに切り替えました。その翌年からは、対前年同月比200%という成長の勢いが2年間ほど続きました。DIY用品ブランド「DIY FACTORY」を育て、実店舗の展開にも広げています(参照*7)。

品揃えの拡大と受発注の仕組みづくりを一体で進めたことが、ネット通販の成長につながった事例です。

事例7: 社内制度から始める企業ブランディング(アイペック)

7つ目は、富山県富山市の株式会社アイペックによる、社内制度を起点とした企業ブランディングです。

J-Net21は、同社の働き方改革と自己啓発支援制度により、導入前は年間の資格試験受験者が延べ20人程度、合格率が4割を切っていたものが、導入後は100人を超え、合格率も5割強にアップしたとまとめました(参照*9)。

あわせて、SDGs宣言後は同社への注目度が一段と高まり、富山県がSDGsの代表的な事例として紹介したと記されています(参照*9)。

社内制度の整備と活動の発信を行った事例です。

事例から抽出する成功パターン

7つの事例からは、着手の優先順位、発信の一貫性、社内制度と発信の連動という共通パターンを取り出せます。

優先順位の付け方

7つの事例に共通するのは、着手の順番に型があった点です。

岡山市の事例集では、エスプランニングが最初に現状分析とKPI設定を行い、法人顧客獲得に向けた戦略の方向性を決定したと記録されています(参照*3)。

現状分析・基盤整備・発信・追客・分析という順で進めると、全体像を把握しやすくなります。業種や現状によって重心は変わり、ヨシハラ機工のように採用と集客の分離を先に決める場合もあります。

順番の型を持ちつつ、自社の弱い工程から手を入れると、投資の優先順位が決めやすくなります。

一貫したブランディング活動

一貫したブランディング活動は、発信の軸をそろえるために役立ちます。

中小企業白書は、先行研究として、製品・サービスの差別化によるブランド力の構築が価格競争を脱することにつながり、付加価値を高めていくと指摘したことを紹介しました(参照*2)。

特許庁の商標活用ガイドは、山口県の防府商工会議所が地元の方言を商標にして、地域の財産として活用した事例を挙げました(参照*8)。

差別化・価格競争からの脱却・付加価値・地域の財産といった要素を意識しながら、Web・SNS・MEO・PRの語り口をそろえると、発信に一貫性を持たせやすくなります。

社内制度と発信の一貫性

社内制度と外側への発信をそろえると、企業への理解を深める材料になります。

J-Net21は、アイペックが新設した自己啓発支援制度で、ノー残業デーの水曜日に社内で1時間以上自習すると、1回につき2,000円の手当を支給する仕組みを紹介しました(参照*9)。

こうした制度の内容を対外的に発信することで、企業活動を具体的に伝えることができます。

つまり、社内制度と発信内容をそろえることが、企業ブランドを伝える方法の一つです。

失敗を避けるための注意点

成功パターンの裏返しとして、つまずきやすい点も押さえておきます。多くは属人化と短期偏重に集約されます。

属人化とデータ未活用

失敗の典型として挙げられるのが、属人化とデータ未活用です。

岡山市の事例集では、エスプランニングの支援前の課題として、集客の属人化とアナログ依存、名刺データの未活用と追客不足、データに基づかない改善サイクルが挙げられました(参照*3)。

IPAは、DX推進の現在値の平均分布で最も多いのが「レベル1以上2未満」、次いで「レベル2以上3未満」で、レベル4以上の企業は全体の3%にとどまるとまとめました(参照*10)。

分析や顧客管理の仕組みを共有資産として整えておくと、担当者が代わっても取り組みを継続しやすくなります。まずその土台を整えることが出発点です。

短期成果偏重と長期視点

短期の成果だけで判断してしまうことも、注意しておきたい点です。

中小企業白書は、長期を見据えた計画を策定している事業者ほど、両指標とも高い水準であり、この結果から一概にはいえないものの、長期目線での経営計画は業績の向上をもたらしている可能性があると整理しました(参照*2)。

経済産業省は、短期的な損益を追うのではなく、長期的な視点で事業構造・組織構造を再構築していく戦略を持った経営に転換し、稼ぐ力を高め、強い中小企業へと成長することが重要であるとしました(参照*1)。

IPAは、DXの取組内容別の成果として、データのデジタル化や業務効率化が高い一方、企業価値創出につながる内容では低い状況にあり、変化がないことを示しました(参照*11)。

つまり、Web集客でも、短期の数字だけで判断せず、継続的に評価していく視点が欠かせません。

おわりに

Web集客の成功事例を、内製と外注、費用、優先順位の3軸で整理しました。中小企業や地方企業に共通するのは、独自価値を起点にした活動と、分析・追客の基盤づくりです。数字とプロセスをセットで見ることで、自社の次の一手が具体化しやすくなります。

名前の付け方や社内制度まで含めて発信の言葉をそろえる姿勢は、小さいようで効果的な取り組みです。言葉と数字の両方を整えるところから、自社のWeb集客を見直してみてください。こうして育てた発信の型と顧客との関係は、目先の売上にとどまらず、次の世代へ引き継がれる会社の資産としてのこっていきます。

この記事を書いた人

マーケティングディレクター

松本 滉平

これまで事業会社で、マーケティング戦略設計からWeb広告、SEO、ナーチャリングなどの戦術面まで、幅広い施策を担当。企業や商材に応じて全体最適を目的としたマーケティング戦略立案、戦術を実施し、マーケティング施策全体の費用対効果を高めるスタンスを重要視している。今後の目標は、自身が素晴らしいと感じた商品やサービスの価値・魅力を最大限に引き出し、多くの人に届ける活動を続けていくこと。ブランドマネージャー1級

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