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事業責任者だった私が間違えたブランディング
「もっと早く本質的なブランディングを知っておくべきだった」
数年前、新規事業の責任者を任されたとき、心底そう思ったのを今でも覚えています。
コンセプトを決め、営業を繰り返し、SNSで発信し、
プロのデザイナーに依頼してロゴを見直し、パンフレットを作り、資料も整えた。
やれることは全部やったつもりだった。
それでも顧客の反応は鈍かった。
一言で価値を伝えられず、長い説明をしてようやく活用方法を理解してもらえる状態。
理解してもらえたとしても、他者との違いが曖昧で、値下げしてやっと売れる程度。
目の前の数字を追いながら、私は「何か根本的に間違っているのではないか」と感じていました。
今思えば、当時の取り組みはすべて「魅せかけのブランディング」だったんです。
全ては自分の責任。だから学び直すしかなかった
当時の状況では、新規の売上はそこそこあったものの、リピーターが定着せず、広告費がかさんで収益性が思うように向上しませんでした。
事業責任者として結果を出せない現実に直面し、焦りばかりが募っていたことを覚えています。
ちょうどその頃、会社の別部門で外部パートナーと「ブランディングに取り組む」というプロジェクトが立ち上がり、私は急遽そのメンバーとして参加させていただくことになりました。
正直なところ、かなり追い込まれていたため、何かヒントを得たい一心での参加でした。
そこで痛感したのは、私が理解していた「ブランディング」が本当に表面的な一部に過ぎなかったということです。
ロゴやパンフレットのデザインを整えること、ビジュアルを統一すること、プロモーション動画を制作すること、広告を出すこと。
これらはすべてブランディングの手段であって、本質ではなかったのです。
私は手段にばかり囚われていたんですね。
その発見があった一方で、「本当に根本からブランディングやマーケティングを見直していくことで何か大きく変わるのか?」という疑問も湧いてきました。
外部のパートナーから共有されたノウハウは、理論的には正しいと思う反面、現場目線ではあまりにも非現実的に思えたのです。
大変失礼ながら、その当時支援していただいた会社さんとのプロジェクトは、机上の空論的な部分が強く感じていたのかもしれません。
とはいえ、必要性自体は十分に理解していたので、そこから「ブランディングとは何か」「マーケティングとは何か」を徹底的に学び直すことを決めました。
本を100冊以上読み、数多くのセミナーに参加し、事業に活かせそうなノウハウをとにかく吸収し、事業活動の中で試し続けました。
しかし、あるとき気づいたのが、本や講師ごとに語られることは異なり、そこには一貫性を感じなかったこと。
それに、実際の現場で私たちが直面している課題と、語られているノウハウとの間に乖離があるようにも感じました。
やっぱりここでもどこか机上の理論に思えたのです。
そうこうしているうちに最終的に思ったのは、「正解は外にはない」ということ。
自分自身で定義を掴み取るしかないと思ったんです。
紆余曲折はありましたが、最終的に当時任されていた事業はなんとか形にすることができました。
そして、その経験を経て、私はブランディングを専門にする会社へ移る決断をいたしました。
本質を学び、本質を提供できるブランドマネージャーになるために。
実践の中で見えた「業界自体がブランディングできていない」という現実
某ブランディングデザイン会社に籍を移し、ブランドディレクターとして100件を超えるプロジェクトに携わる中で、改めて痛感したのは、業界自体がブランディングを正しく伝えられていない、という現実でした。(当時は特に)
企業から寄せられる相談の多くは、
「ロゴを新しくしたい、ホームページを作り直したい、魅せ方を変えたい」=「ブランディングしたい」というもの。
つまり、数年前の私と同じ誤解を抱えている中小企業の経営者の方が大半だったのです。
デザインを整えればブランドになる。
広告を出せば好ましい形で認知が広がる。
それをブランディングだと思い込んでいる。
しかし、実際に成果を出している企業はまったく違っていました。
存在意義や戦略を明確に定義し、その方針に基づいた運用を粘り強く続けていました。
だからこそ、売上が積み上がり、顧客からの信頼も高まっていったのです。
一方で、表面的な取り組みにとどまった企業は、一時的に話題を集めても、やがて失速していきました。
当時私はブランディングデザインを専門とする制作会社に勤めていたため、戦略運用まで支援が及ばず、制作物だけを納品して終わることも多々ありました。
その後、期待していた成果が出ないという声を耳にすることも少なくありませんでした。
この経験から痛感したのは、ブランディングそのものが誤って伝わっている限り、経営者は正しい判断を下せないということです。
表層的な施策に資源を投じ続け、成果が出ずに嘆く。
その悪循環を断ち切るには、本質を正しく理解し、実行できる環境をつくる必要があります。
こうした矛盾だらけの現状を放置するのではなく、自ら会社を立ち上げ、本質的なブランディング支援を提供する。
その役割を担いたいと考え、同社で役員を務めた後、独立を決めました。
マーケティングと一体でなければ成果は出ない
独立する前から強く感じていたことがあります。
それはブランド戦略は事業戦略そのものであり、正しく機能させるためにはマーケティング戦略と切り離せないということ。
いくら理念やコンセプトを磨き上げても、市場に届かなければ意味がないですし、市場で受け入れられなければ、ブランドの存在意義すら揺らぎます。
だからこそ、ブランドとマーケティングは常に一体で考える必要があります。
もちろん、元々制作会社に勤めていたので、デザインの重要性も誰よりも理解しています。
ロゴやビジュアルはブランドの理念や価値を直感的に伝えるための重要な手段。
顧客が「一貫性のあるブランド」と認識するためにも、デザインの役割は大きい。
ですが、デザイン単体では企業を成長させることはできません。
戦略や仕組みと結びついて初めて力を発揮するんです。
実際に私が関わった企業の中にも、理念は立派でデザインも洗練されているのに、数字が伸びないケースが多くありました。
経営者が時間と資源を注ぎ込んでブランドを言語化し、デザインを整えても、市場に届ける導線がなければ成果にはつながらない。
逆に、マーケティング施策だけを積み重ねても、ブランドの方向性が定まっていなければ顧客からの信頼は積み上がらない。
この両方の失敗例を、数え切れないほど見てきました。
だからこそ、私は経験豊富なマーケティングの専門家とチームを組み、ブランドマーケディレクションに特化した会社を立ち上げました。
専門家同士で連携してブランドの基盤を設計し、数値で客観的に状況や予測を管理し、価値を市場に届ける仕組みを構築する。
そしてブランドマネジメントを緻密に行いながら、クライアントに伴走し、徹底的に運用を回していく。
そうすることで、企業が持つ本来の強みを確実に成果へと結びつけられると考えたのです。
経営者にとって本当に必要なのは、見た目を整えることではありません。
増え続ける様々な媒体、ツール、マーケティング手法を目的に合わせて上手に使い分けながら、ブランディングとマーケティングを一体で回す仕組み。
それを持てるかどうかで、企業の成長は大きく変わります。
私が会社を立ち上げたのも、その仕組みを一社でも多くの経営者に届けたいと考えたからです。
ただ、仕組みを提供するだけでは不十分だとも感じています。
誤解されがちな「ブランディングとは何か」を、まずは正しく理解していただく必要がある。
そのために伴走支援だけでなく、直接お伝えする場をつくろうと決めました。
まずは富山から。ここを出発点に広げていく
今回、ご縁をいただき、富山にて起業家の皆さまを対象とした講演に登壇させていただくことになりました。
まだテーマは具体的に決まっていないのですが、決まり次第改めてお伝えいたします。
現時点では、スタートアップの経営者やフリーランスの方向けに、ブランディングやマーケティングに関する経験や知見を余すことなく120分に詰め込む予定です。
創業から間もないこのタイミングで、こうした機会をいただけることに感謝しかありません!
今後は富山だけでなく、地元である長野をはじめ、全国各地で登壇の場を積極的に設けていく予定です。
魅せかけではなく本質的なブランディングの重要性を、経営者の皆さまに直接お伝えしていくこと。
それが現時点での私自身の使命であり、講演活動はその大切な手段だと考えています。
講演の具体的な内容につきましては、現在準備を進めております。
整い次第、こちらのホームページで改めてご案内させていただきます。
まずは富山から。
ここを出発点に、本質的なブランディングを広げる活動を加速させ、本気で中小企業の皆さまと共に、地方をもっと面白くしていきます!
この記事を書いた人

クリエイティブディレクター
萩原 雅貴
これまで100を超えるブランドのWEB・デザイン・クリエイティブディレクションを担当。固有の価値を伝える現場において、ビジョン・コンセプト開発、事業戦略設計、制作クリエイティブディレクション、執筆まで。ものづくりに情熱を注ぐ人や組織と手を組み、情報ではなく情緒でつなぐことを指針に活動。ブランドマネージャー1級